第5章 毛利元就
手首に繋がれた手錠を引かれて、未来はバランスを崩し元就の足元の床へ倒れ込んだ
「痛…っ。…あなたなんかに縋るくらいなら、ここで死んだ方がマシです」
自分を見下げる元就を精一杯睨みつける未来
「いいねェ、勇ましくて。やれるもんならやってみろよ」
得物も持たない未来には到底不可能だろうと、元就は高を括っていたが、未来は視線を元就から外さず素早く立ち上がり、後ろへ下がり元就と距離を取った
帯に隠し持っていた懐刀を素早く取り出し、鞘を床へ落とし捨て、刃を自分の首に這わせ、震える両手で柄を握りしめる
「へェ、そんなもん隠し持ってるとは…」
元就は床に落ちた鞘を拾い上げ、それを眺めると何故か笑顔を見せる
「…なるほど。やっぱりお前はただのお姫さんなんかじゃねェわけだ」