第5章 毛利元就
何食わぬ顔で元就は未来の様子を愉しんでいるようだった
「はは、それは楽しみだよ。それじゃあ今夜部屋で待ってるよ、レディ」
部屋に入ってきた時の印象とは真逆の下品な笑顔を振りまき、支配人と呼ばれた男は部屋を出て行った
扉の閉まる音が聞こえると、理解できなかったさっきの元就たちのやりとりを未来は頭で反芻した
「…あなた、なに考えて…」
怒りと他の気持ちが一気に押し寄せて手が震える
「それじゃァお姫さん。ここからは俺と取引といこうじゃねェか」
「………」
返事もせずに、元就を見据える未来
「お姫さん。競りにかけられたくなかったら、今俺がここで買い取ってやるよ」
「…さっきからなに言ってるんですか」
「買い取る条件はそうだな…、俺の従順な奴隷になれ」
未来の言うことには耳をかさず、淡々と話す元就
「……っ」
「まァそれが嫌なら、今夜はあの男の相手。明日からは落札された男の愛玩…ってところだろうな」
とんでもないことを涼しい顔でごく普通に話すこの男が怖いと、未来は本能で感じた
「今ここで俺に泣いて乞え。俺に買って下さいってな。そしたらお前を買い取ってやるよ」