第4章 松寿丸
信長は思案するように松寿丸をしばらく見据えて、口を開いた
「…なるほど。未来、秀吉たちに同行して情報を仕入れて来い。確かに毛利元就は南蛮へ出向くこともあると聞く。向こうの人間から何か聞き出せるかも知れん」
「…はい。承知致しました…」
(信長様の言うことは絶対だ…。ここで駄々をこねても意味はないし。でもこの人について行くのは…どうしてだろう、なんだか気が引ける…)
気が萎んでいく未来を横目に、信長は松寿丸に最後の言葉をかけた
「ただし、俺のものに傷一つ付けてみろ、分かっておるな、松寿丸よ」
「はっ!」
綺麗な白銀の頭を下げる松寿丸
「未来、俺たちも一緒だから心配するな」
「必ずお守り致しますよ、未来様」
(二人に励まされて、信長様も気にかけてくれた。…決まったことだ。しっかり自分の役目を果たそう)
「ありがとうございます、秀吉様、三成君」
その様子を冷静に見据える松寿丸に、この時はまだ誰も気づいていなかった