第4章 松寿丸
まさかの提案に思わず未来は声を漏らす
「語学に長けている未来様でしたら、南蛮からの貿易商人相手に有益な情報を得られるかと…。もちろん私が命をかけて護衛に当たらせて頂きます」
「あの、有益な情報って…?」
「安土城を何者かが狙っていると情報を得た。そしてその黒幕が毛利元就ではないかと浮上している」
信長の側に控えていた秀吉が説明してくれる
「毛利元就…」
「安芸出身の毛利元就はそこを拠点にしているらしく、俺と三成で調査に行く予定だ。だが、未来を連れて行くのは危険だ、松寿丸」
(安芸って確か広島の方だよね…。毛利元就って…うーん、確か一代で中国地方を統一した人だったような。水軍に長けてて海賊っていう風にも呼ばれてたとか…。他は分からないなあ…ああ、もっと歴史勉強しとくんだったなぁ…)
「毛利元就の船を安芸と堺の港で見かける事が多々ありますが、日ノ本の外へ出て行くことも少なくないとか。直接南蛮の者に聞くのが早いかと。うちにも通訳がいますが、未来様程ではございません。それに…」
松寿丸は未来へ視線を向けた
「まだ日ノ本へ入ってきていない品も多数ございます。未来様の目の保養にもなるかと」
人の良さそうな笑顔で未来に微笑みかける松寿丸に、未来はただただ困惑するばかりだった