第16章 垣間見える優しさ
港に着くと行商人と物で溢れていた
「わあ、すごい活気」
「離れんじゃねェぞ」
先程のことは無かったかのように、未来と元就は普段と変わらないやり取りをしていた
「元就様、早速ですが例の物が無事届いてるようです」
二人の元へやってきたのは、広良だった
「そうか。それじゃあ早速拝みに行ってみるか」
(えっと、私はついて行っていいのかな…)
未来には気にも止めず歩き出す元就だったが、未来がついてきていないことに気づき振り返る
「なにぼさっとしてんだ。早くついて来い、奴隷」
「…はい」
(…もう、名前で呼んでくれないのかな)
「はっ、口答えしなくなったのは成長したな。調教し甲斐があるぜ」
「もう何十回と同じやりとりをしたので諦めました」
「いい心がけだな」
未来は自分の本当の気持ちに蓋をした
どうにもならない、その気持ちに…