• テキストサイズ

《イケメン戦国》散りゆく惡の華 ー毛利元就ー

第16章 垣間見える優しさ


あの日、触れ合った時に名前を呼び合って以来、お互いの名前を口にしないようにしていた


名前を呼び、呼ばれたくらいで、何故こんなに胸が詰まるのか


「…俺はもう戻る。お前もほどほどにしろ」


未来の方は見ず、元就はその場を後にした


「どうして、奴隷なんて呼ぶのに、優しくするの…元就様…」


葉巻の香りがする羽織りをまとっていると、元就に包まれているようで涙を誘う


ずるずるとその場にしゃがみ込み、ズキズキと痛む胸が治るまで、未来は羽織りに残った温もりと香りを感じていた


元就もまた、部屋に戻ると、耳に心地よく残っている未来の声を思い出していた


「未来…」


名を呼ぶ掠れた声は、部屋の静けさに溶けていった


それから間も無くして、船は堺港に着いた
/ 125ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp