第16章 垣間見える優しさ
あの一件、元就が未来に触れ、その後突き放されて以来、元就との間には目に見えない壁が立ちはだかっているように未来は感じていた
そして未来も元就も、あの時のことに触れないようにしていた
「……別に開き直ってなんか……クシュンッ」
甲板に出た時から肌寒かったが、少しくらい平気だろうと、海の上の冷え込みを甘く見ていた
かじかんできた指先にはあっと息をかける未来の肩に、突然ふわっとなにかを掛けられた
「え?」
見ると元就の羽織だった
「寒いならそれ羽織ってろ」
「でもそれじゃあ元就様が…」
「……っ」
咄嗟に未来の口から出た元就の名前に、言った本人も呼ばれた元就も驚き、一瞬時が止まったと錯覚するようにお互い見つめあった