第15章 気づき始める気持ち
政宗と替わるように未来のそばへ寄ってきたのは家康だった
「怪我と風邪の具合は大丈夫なの?」
「あ…、家康様…」
家康の御殿の廊下で別れたのが最後だった為、未来には気まずさが残っていた
「あの…おかげさまで、もうすっかり元気です。処方して頂いたお薬が家康様からのものだったと聞きました。いつもありがとうございます…」
信長の使いの者から未来のことを聞き、家康は未来の為に薬を調合したという
「あんたは薬が効きやすい体質みたいだから、あまり効き目が強く出ないように調合したけど…、まあ顔色も良さそいだし、上手く効いたみたいだね」
家康が未来の頬に手を伸ばし、未来の顔色を覗き込んでくる
未来のちっぽけな気まずさなんて吹き飛んでしまいそうな程、家康の顔が近い
「……っ!」
「…今度また何かあれば、俺に言って。わかった?」
「家康様…」
初めて見る家康の眼差しに未来はなんと答えれば良いのか分からなかった
そんな未来の様子に気付くと、頬に触れていた手を自分のこめかみへ持っていき、人差し指でトントンと叩いた
「もう無茶なことしないように。こんなとこにまで傷作って」
未来の頭に出来た傷のことを知っているようだ
「は…はい」
「………」
家康は、未来の隣に座る元就に鋭い視線を送ると席に戻っていった