第3章 出会い
「不躾に失礼致しました。先程の南蛮商人との仲介役を拝見させて頂きました。まだお若いのにあれだけ流暢にいすぱにあ語を話せるとは、大したものです」
「え、あ…ありがとうございます」
白銀色の髪をしたその人は、この辺りでは見かけないように思えた
(格好からして流しの行商人とかかな)
「いすぱにあ語はどちらで習得をされたのですか?」
「えーっと…、数年向こうで生活をしていたので、その時に…」
「それはすごい!…あ、申し遅れました、俺は松寿丸と申します。貿易商をしております故、とても興味を持ってしまいました」
「なるほど…それで。あ、未来と申します」
「未来様…素敵なお名前ですね。あなたのような聡明な方に相応しい。お仕事は通訳かなにかを?」
「あー…はい、そんなところです」
「奉公先はどちらで?」
(奉公先が安土城なんて、あんまり言わない方がいいよね)
「あの、すみません。ちょっと急いでますので…」
「おや、それは気付かずに失礼しました。ではお気をつけて」
「はい…失礼致します…」
(なんだか質問攻めだったな…)