第3章 日常の始まり
近侍をしたい人ー!と全体に声をかけると伽羅ちゃんが真正面に立った。
『え。え?ってか近い!え、他は?』
大倶利伽羅「.....」
無言の圧力はやめておくれ..。
『じゃ、じゃぁ、今週は伽羅ちゃんにお願いしようかな... 』
大倶利伽羅「あぁ。」
何かに感激したような表情の光忠と、
ワクワクしたような表情の鶴丸を横目に、
審神者部屋に向かう。
煙草を吸いながら、
ふと、今日見た夢を思い出す。
悪夢はまだ私を追いかけ回したいらしい。
もう充分苦しんだつもりだったし、
あれから随分経った。
色んなことで自立して、
それなりに一人前の大人になったつもり。
この年齢で経営者としてのし上がり、
次にしたいことだってある。
夢で終わらせるなんてことしたくない。
だからこそ、こんな悪夢に足元を救われたくはない。
もっと高みに。もっと、アイツらを見下せるくらいに。
高く上がっていく煙に目を細める。
大倶利伽羅「入るぞ。」
部屋に入ってきた伽羅ちゃんに目を向けると、
歪んだような顔でこちらを見てきた。
『ごめん。煙たかった?』
大倶利伽羅「...酷い顔をしている。」
首を振りそういう彼に、言葉が詰まる。
大倶利伽羅「どうした。」
聞いてもらった方が楽になるかもしれない。
隠すことでもないだろう。
どうせ随分前の話だ。