第4章 一難去ってまた一難
「言い方から察するに、値上げには応じないという風に聞こえるのですが?」
『察して頂いてありがとうございます。』
「とすると、ここから出てもらうほかありませんね~?
あ、1月前からの申請ですから、違約金として来月分は払ってもらいますよ?いいんですか?せっかくの客足が途絶えてしまいますよ~?」
なるほど。いて欲しいんだな。と彼の態度ですぐに理解した。
『とても残念ですが、残り一週間よろしくお願いします。
来月中には荷物はすべて引き払いますので。』
「っ....いいのか!?今までの客が戸惑うことになるぞ!」
『えぇ。SNSで先に移転の告知をしますので、来る人は来るし、来ない人はどこであっても最初から来ないです。
それに8万ですって?18時までしか使えないのに?
8万もあればそこそこ大きなお店が持てそうです。
それまでの足掛かりにさせていただいて、感謝いたします。』
「覚えてろよ!お前の店なんてすぐに潰しっ!!!!」
急に怯えたような表情で黙り込んだ店主の目線の先には
殺意を含んだ目でじっと店主を見ている
伽羅ちゃん。
大倶利伽羅「すぐに...なんだ...?」
「ひっ...ら、来月まで...よ、よろしくおねがいします!
お店がんばってください...!!」
腰を抜かし尻もちをつき、這いずりながら出て行ってしまった。
『ケツ捲くって逃げるってああいうことをいうんかな?
....っと...伽羅ちゃん、ありがとう。』
大倶利伽羅「あんたの目標の邪魔は誰にもさせない。」
『っ...』
今絶対私の顔、りんご並みに赤い!
「伽羅さん?って、やっぱり先生の!?」
そう詰め寄る彼女に、ふっと優しく目を細める伽羅ちゃん
「わ~!やっぱり~!!!!先生ったらすぐに無理しちゃうから心配だったんです!これで安心ですね!
これからも先生をよろしくお願いします!」
大倶利伽羅「あぁ。」
うん。これ絶対誤解されてる。でも、否定されなくて嬉しいと思ってしまう...もう...こんなんめちゃくちゃ好きやん...。