第2章 ブラック本丸ならぬホワイト本丸
え?っと意外そうな声が聞こえたり、
嘘だろって顔を向けられるが、
私はお酒が全くもってダメだ。
見た目からして、一升瓶持って寝てそうとはよく言われる。
失礼だな、まったく。
烏龍茶をコップに注いで、
『まだ私の事、信用出来ひんかもしらんし、
体の傷が癒えたところで、心の傷はすぐには治せません。
だけど、幸せって思って貰えるように精一杯、頑張ります。
どうかよろしくお願いいたします。
堅苦しいんは苦手なんで、この辺で、
かんぱーい!!!』
「「「「かんぱーい!!!!!」」」」
全員とは行かないが、盃を上に上げてくれ、
各々食事を始める。
満足そうな顔を見て、
良かったと
伽羅ちゃん、光忠、歌仙にアイコンタクトをとりニコリと笑う。
私は元々量は食べないため、
気を使わぬようにと
早々に外に出て、一服しようと縁側に腰掛ける。
ねぇねぇ。と声をかけられ振り向く。
加州「俺らのこと、可愛がってくれるよね?」
大和守「もう、折ったりしない?」
その言葉で心の臓がどくりとなる。
『もう...って...?』
大和守「僕たちや、短刀たちとか
1回折られてたり、何回も折られてたりする刀剣が居るんだ。僕は2回折られてる。」
加州「俺は3回くらいかな。顕現される度に、記憶持っちゃって、あ、またここか。って思うんだ。
引き裂かれるような痛みとともに消えるんだよ。」
大和守「折られてない奴らも、戦闘で負った重症の傷を放置されたままだったんだ。」
『なんやねん...それ...』
甘すぎた。
信用して貰えるように頑張る?
幸せと思って貰えるように?
何度も何度も殺された彼らを前に
信用して貰えるようにと宣ったのか、私は。
ギリっと歯を食いしばるだけでは飽き足らず、
口内も噛んでしまう。
口の中に血の味が広がることなんて
気にもしなかった。
殺してやればよかった。あんな男、殺してしまえばよかった。
そう思いながら、
彼らの頭を優しく撫でる。
安心したように頭を擦り寄せる2人を両手に抱き寄せ、
ポンポンとあやす様にたたく。
微笑ましげに見える様子とは裏腹に、遠くで雷がなった気がした。