第2章 1日目 ―春日山城―
【神楽目線】
あーともこーとも言っていられず、とにかく今は姫としての衣装を着ることにした。
このままいけば、予定の女中としてではなく、姫としての潜入となる。そうすると、まず簡単には城を抜け出せない。
はぁ……参ったなぁ。
こんな風になるくらいなら、門の所で一旦引き返すべきだったかもしれない。
───主様は、このことを知っているのかな。
こうなることを知っていて、わざと『女中』と嘘をついたのかな。
いや、そんなことない。
そんなことを、『あの』主様がやるわけないんだ。……でも、なんだか不安だな。
心の中で、不穏な渦がグルグルと回り始めたその時、障子の向こうから女中さんの声が聞こえた。
「神楽様、広間へ参りましょう。」
あぁ…………覚悟を決める時が、来たか。
姫として潜入することは、命を落とす危険も高くなるということに繋がる。
「─────はい。」
私、神楽はこの日……この瞬間をもって、本物の『姫』の人生を歩むことになった。