第1章 *声のボリュームは抑え気味に。【セベク・ジグボルト】
「うわああああ!?!?」
ばこーん!という音ともに私は頭を叩かれた。
「いっ!?」
「ぼ、僕は女相手になにを…」
わなわなと焦り出すセベク。
今までの全ての行為、私を男だと思って行っていたのだからそれは驚くだろう。
「何故それを早く言わない!!」
「え、いやセベクだけ気付かなくて…」
ごめんね?って謝り、彼の顔をもう一度よく見ると耳まで真っ赤になっていた。
「す、すまない…っ」
「えっ、と…」
真っ赤な顔に驚いているとセベクは立ち上がって一人で保健室から出て行ってしまった。
予想外の反応に私も驚きが隠さず、少しの間だけ動かずにいた。綺麗に丁寧に巻かれた包帯を見て、なんだか悪いことをしたかなあとぼんやり思った。
「…明日には戻ってるよね、いつものセベクに」
なんて少しだけ考えた。
だが彼のことだ。別に女だと分かってもそう変わらないだろう。
そう思い、私も保健室を後にした。