第1章 *声のボリュームは抑え気味に。【セベク・ジグボルト】
あいにく保健室の先生は席を外していて、勝手に手当てするための道具を漁ることになった。
「おい人間、ぼーっとしてないで上を脱げ」
「ぬ、脱げ!?」
「ツナギのままだと肩が見えないだろ」
そう言ってセベクは私のファスナーを下ろし、ツナギから両腕を出させた。中にもちろんTシャツは着ているのでよかった。
脱げと言われて少し、いやだいぶ焦ったけどツナギのことね…。
「お前腕も細いな、すぐ折れそうだ」
「え、そうかな…そうでもないはずなんだけど」
「体も全体的に柔らかすぎる。筋肉をつけたらどうだ!」
そう言ってセベクは私のお腹、腰をがっちり掴んできた。
そしてぶつかってない方の右腕も触られる。
あまりの恥ずかしさとくすぐったさに、セベクの顔が見れずにいるとセベクは不思議そうな顔を一瞬したが、「僕は若様のために鍛えているからな!」と自慢げに話し出した。
その間も彼は私の腕に包帯をぐるぐる巻き付け、手当てをしてくれている。