第2章 *雨が強かった日【イデア・シュラウド】
○おまけ
目を丸くしている私を見向きもせず、先輩はヒョイっと私のことを持ち上げ、すぐ後ろにあったベッドにゆっくりとおろした。
上に跨ってきた先輩の重みとその下に寝転ぶ私の重みで、ベッドのスプリングがギシッと軋む。
ああ、本当にベッドって軋むのか。そんなことを思ってる暇なんてなかった。
先輩の目は少しだけ欲情しているように感じて、心臓がドクリと音を立てる。当の私は何が起きたのかわからず、そのまま動けないでいた。
だって思いもしないじゃないか。先輩に好きって言ってもらおうと思ったらベッドに押し倒されてしまうなんて。あの、ヘタレそうな先輩だよ?想像できる人なんていないだろう。
「…あの、先輩……えっと、これは…」
「ユウ氏の御所望通り、襲おうかと思いまして」
「いつ私がそんな望みを…?」
キョトンとした私の顔が先輩の目にうっすら映る。少し女としてみてくれれば嬉しいな、なんで思ったかもしれないけれど、襲われたいなんて思っていないはずだ。さっきまでの私は。
すると先輩は、はあとため息をついた。
「服の上から形が分かるほど勃たせている人が、何を言っても拙者はどうも思わないでござるよ」
「ひやっ!」
先輩は服の上から、尖った胸の先をピンッと弾いた。
「気付いてなかったでござるか…?こっちは見ないよう必死だったというのに。はあ、無防備怖すぎ。どれだけ拙者に安心感を持っているんだか。
まあ、勃ってしまうのは自然現象だし、寒さとか服との擦れとか理由は様々だからそういう理由ではないと思いますけど」
淡々と話しながらその尖った先を、先輩の細くて長い親指と人差し指でくにくにとつままれ弄られる。
感じたことのない感覚と恥ずかしさに、思わず口から甘い声が溢れてしまう。