第2章 *雨が強かった日【イデア・シュラウド】
先輩のことをじっと見つめると、慌てたように私に触れていた手を離した。あああ、ごめん拙者なんかが触ってしまってと慌てふためく。
ねえ、先輩。ここまできて自惚れちゃいけないなんて、そんなことないですよね。
「先輩、」
「な、なんでござるか?」
「…嫉妬って言ってましたけど、私のことどう思ってるんですか」
「ヒィッ!い、いや!嫉妬っていうのは言葉の綾というかなんと言いますか…!!!」
「先輩、」
言葉の綾?そんなこと言わせない。
もうここまできたら戻れないのだ。好きな人の前でこんな醜態晒してしまったんだ、もう怖いものなんてない。
逃げられるなんてごめんだ。絶対、言わせてやる。
「先輩は私のこと、どう思ってますか」
「な、な、なにをいきなり…っ!」
「私、先輩のこと好きです」
「ング」
「嫉妬ってなんですか、私のこと好きだったりするんです…っ、」
「…っ、あ、あんまり煽ると、本当に襲うけどいいの?」
肩をぐっと押され、そのまま床に仰向けに倒れた。痛みを全く感じなかったのは先輩が手加減してくれたせいなのだろうか。いまいちその辺は一瞬の出来事すぎて分からなかった。
あれ、告白してもらおうと思ったのになんだこの展開は。
「せ、先輩…?」
「…悪いけど、いただくね」
あれ、こんな先輩知らない。解釈違いでは?
なんてとぼけたこと考えていると、私を見下ろすがニッといつもの悪役スマイルを浮かべた。ああ、またなんか間違ってしまったみたいだ。
おわり。