第2章 *雨が強かった日【イデア・シュラウド】
「襲わないので安心してください」
「いや、だから、うん。それ君がいうのね…」
はあ、と先輩はため息をつくと落ち着いたのか私のことを見て、大丈夫?風邪ひいてない?と声をかけてきた。
大丈夫だと答えると、良かったと少しだけ微笑む。
…ずるいなあ、そんな顔。さっきまでオタクインキャ童貞みたいな感じ丸出しだったのに今はそんな大人びて。
「あ、ユウ氏、足怪我してません?」
「え?あ、ほんとだ、擦ってる」
自分の足に目をやると、少しだけふくらはぎのところから少し血が出ていた。あれ、おかしいな。私尻餅ついただけだと思ったんだけどもしや思ったより変な転び方してた?
どうりでシャワー中、なんか染みるなぁと思ったわけだ。
「…絆創膏貼るからちょっと座って、オルトいないから僕がやるけど、嫌だったら言って」
「じ、自分でやりますよ!」
咄嗟にそう言ったが、いいからと言われ大人しくその場に座り込んだ。近くにベッドがあったがなんとなくそこに座るのは良くないかなと思い、その場にした。