第2章 *雨が強かった日【イデア・シュラウド】
シャワーを終え、先輩のパーカーを着る。
ふわりと香る柔軟剤はいつもの先輩と同じ匂いで少しだけドキドキしてしまう。
私には大きすぎるパーカーは少しだけ動きにくくて、でも着心地が良かった。
「あ、ユウ氏出ましたか!実は最近新しいゲームを始めまして!!ぜひユウ氏も一緒にやりましょうぞ!ってヒイイイイイ!!!!!」
足音で気づいたのか、先輩のところまで歩いていくと楽しそうに先輩が話しかけてきた。だが、ゲーム中だからか視線は画面のまま。そしてやっと振り向いたかと思うといきなり悲鳴を上げた。
「え、なになになんですか…って、なんでそんな逃げるんです!?」
「いや、ちょ、ちょっと刺激が…っ!拙者の服着てるの、ちょっとヤバすぎでは…!?拙者が着せたみたいに思われたら、どうしよう!?捕まります!?僕!!!」
あわあわしている先輩を見ると、本当に女慣れしてないんだろうなというかなんというか。哀れというか…。
こちらとしては嬉しいけど、少し照れ臭いような気まずいような。