第2章 *雨が強かった日【イデア・シュラウド】
そして先輩はまた、天気のデータを見るために先ほどの椅子に座り直した。
「濡れた服全部洗濯していいよ、すぐ乾かせるだろうし」
全部?
先輩の言う全部ってどこからどこまでなのだろうか。私の服はというとまあ、何度も言うように派手にこけたので下着まで完全に濡れている。気持ち悪くてありゃしないと思うくらいに。
だが、付き合っているわけでもない先輩の部屋で、全部脱ぎ先輩のパーカーのみを来ている女って世間的に大丈夫なのか?痴女?
先輩のパーカーは私の背丈には大きすぎてもちろん着ると太ももまで隠れるのでまったく持って問題はないのだが…。
先輩の方に目をやるとこちらを見ることはなく、ただただ光る画面を見ていた。
…先輩にパーカーのみってことを察されなければいける。
「じゃあ、シャワー借りますね」
私はそれだけ言い、入り口近くにある浴室に入った。
それにしても部屋にシャワーなんて付いてるものなんだ、と思ったが先輩が人に会うのを避けるために勝手に付けたのかもしれないということも想像できて少し面白かった。