第2章 *雨が強かった日【イデア・シュラウド】
「…ハイ、汚くてスミマセン…」
「お邪魔します〜!ってあ、待ってください、私ビショビショなの忘れてました」
先輩の部屋に入ろうとした瞬間、ふと服の重みに気付いて足を踏み入れるのを一度やめた。このまま入ってしまえば先輩の部屋までも濡らしてしまう。
本当はズカズカ入り込んで先輩のお部屋をじっくり見たいところだけど今は我慢だ。
「あー、そっか。どうしようか…、あ、それならシャワー使う?」
先輩はそんなことを言いながら部屋の椅子に腰掛け、何かを調べ始めた。画面からはうっすら天気のマークが見えるので、いつ天気が安定するのか見てくれているのだろう。
「あ、でも服…」
「…僕の貸すから」
座ったばかりの椅子からすぐ降り、なにやらなにかを探し始めた。先輩は「貸せるような服あったっけ…」と呟いているので、私に貸してくれる服でも探してくれているんだろう。
そんな深刻そうな顔しなくても、私先輩の服ならなんでもいいんだけどな、なんて。そう思っている時私はハッとあることを思いついた。
「先輩がよく着てる青いパーカー着たいです…!!」