第2章 *雨が強かった日【イデア・シュラウド】
「というか本当にユウ氏はバカですな〜!こーんな雨のひどい中傘を持っていないだなんて…フヒヒ」
「バカにしないでください〜!でも、先輩いてよかった…」
煽られてはいるが、私は先輩とこんな近くで一緒に歩けていることに喜びまくりだってことを先輩は知らないでしょう?
転けたせいでほんの少しだけ足が痛い気もするけど、そんなことはもうこの際どうでもいい。痛くない!うん!痛くない!
雨は次第にひどくなり、地面に打ち付けられた雨が容赦なく足に跳ねてくる。おかげで靴まで浸水気味だ。
「雨、酷くなってきてますね」
「そうですな…、拙者も濡れてきたでござる」
ユウ氏みたいに、とニタっと笑うイデア先輩。
今日はずっとこの弄りを受け続けなくてはいけないようだ。
イグニハイド寮に着いたときにはもう、風まで吹いてきた。
しかもかなり強い。傘をさしていたら折れてしまいそうな勢いだ。
「先輩〜ありがとうございます!傘借りていいですか?」
そう言って私は先輩に手を差し出すと、先輩は少しだけ困った顔をした。