第1章 *声のボリュームは抑え気味に。【セベク・ジグボルト】
「おーい、どうした?ユウ。元気ないじゃん」
「セベクに…避けられてる…」
「なっ、セベクに!?お前何をしたんだ!!」
恒例のお昼休み。エースとデュースにそのことを話せば2人揃って目を丸くした。
「なるほどな、怪我の手当ての時に女だと言ったと」
「セベク、お前のこと意識しちゃったんだろうな〜」
「…なんかこんな風になるなら、男だって思われてた方が良かったのかも」
はあ、と大きくため息をつくとエースは目の前にあるパスタを頬張りながらこう話した。
「そうか?俺は良かったと思うけど」
「え、どうして」
避けられるまでに至ってしまったこの結果を見て、何をどう思ってそう言っているのか私には分からなかった。
「だってお前、セベクに女だって気付いて"もらえない"ってずっと言ってたじゃん。
要するに気付いてもらいたかったわけだろ?」
「ああ、確かにユウはよく言ってたな」
私のことを私より分かっているんじゃないか、と思うくらい彼らは私のことをよく理解している。
2人のその言葉にやっとでやっと気付いた。
ああ、そっか。そうだ。
私、セベクに女の子って意識してもらいたかったんだ。