第1章 *声のボリュームは抑え気味に。【セベク・ジグボルト】
「おいユウ!起きるんだゾ!次の授業が始まるゾ!」
バシバシと肩を叩かれて、夢の中から返ってきた。
だが、いつもと違う目の覚め方。
「グリム…今何時…ってえ!?あと3分で次の授業始まるじゃんか!?!?教室!教室どこ!?」
「わ、分からないんだゾ!?」
慌てれば慌てるほど時間は無くなっていく。
おかしい、今までこんな慌てたことはなかったのに。
次の授業だっていつも…
「ああ、そっか、」
ふと溢れた言葉。
そう、今までこうなってなかったのには理由があった。
セベクが起こしてくれなかったからだ。
いつも頼んでもないのに授業が終われば起こされ、次の授業の準備をしたセベクを見て判断していたのだ。
すぐ若様を探しに行くセベクも片手には次の授業の教科書を持っていたりするわけで。
「め〜ずらしくセベクのやつが起こしてくれなかったんだゾ」
「そだね、なんか、」
「…寂しいのか?ユウ」
不思議そうに私の顔を覗き込むグリム。
うん、そうなの。そうみたい。
「あの大きな声聞こえないと寂しいね」