第4章 夕虹
とろとろと眠っては起きを繰り返し。
夢と現実がごっちゃになってる感覚のなか、額に、ひやりとしたものが貼られたことに、意識が再びはっきりした。
心配そうな表情をしたニノが、俺をのぞきこんでる。
その指がそっと俺の頬に触れた。
俺は、ぼんやりとその顔を見上げた。
「……大丈夫?サト……」
「ニ……ノ……」
朝よりよりいっそうがさがさになった声で、彼の名を呼ぶ。
ニノは困ったように微笑んだ。
「下がんないね、熱。何か飲む?スポドリ買ってきたよ」
「……おまえ……学校は?」
「終わってるよ。何時だと思ってるの。飯は?何か食べた?」
「いや……」
「なんも食べてないの?」
もー……やっぱサトは一人にはできないなぁと、言いながら、コンビニのビニールから、なにやらガサガサ出してる。
泣いていた昨日のことには、一切何も触れずに。
いっそ不自然なほどフラットな態度に、俺はニノに顔を向けた。