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Attack 《気象系BL》

第4章 夕虹



俺は、通話の切れたスマホのディスプレイを、しばらくじっと見つめていた。

……松本は優しい男だと思う。
この埋め合わせは、必ずしなくては、と思った。

そして、俺は、次に電話をするべき相手の名前を、ゆっくりスクロールした。


「…………」


少しためらってから、通話ボタンをおす。

呼び出し音の鳴り出した画面にそっと耳を近づけた。
鼻をすんとすすり、痛いくらい唇をかむ。


……どうしてこんなことになったんだか、意味がわからない。
だけど、ぼんやりしていたとはいえ、ニノが俺を抱いていたのは確かだった。

泣きながら、俺の名を呼んでいたあいつの顔を覚えてる。
霞む記憶のなかで、俺をゆさぶる拙い手つきとか。

気持ちがいいとか悪いとか、そんなことじゃなくて
俺を抱いた意味を知りたいと思った。


でも……何度呼び出してもニノは電話にでなかった。


俺は、スマホをベッドに置き、体を横たえた。


……指先が熱いのに、少し寒いのは熱があがってきているのか。

額の冷却シートは、きっとニノが貼ってくれたのだろう、と思った。


「はぁ……」


いろんなことが一度に起きて、感情がオーバーヒートをおこしてる。



俺は、ぐったりと、目を閉じた。


そうだ。最悪だったのは昨日の客。
クスリを使われたあたりから、けちがつきはじめた。

初めてだった。

相手をしてやってる最中に、ケツに何かを差し込まれ、瞬く間に体に変化がおきた。
ヤってもヤっても、おさまらない。
体が熱くて、喉がかれそうなほど叫んで身悶えて。


文字通り抱き潰された。


家にちゃんと帰れたのは奇跡だったと思う。
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