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Attack 《気象系BL》

第4章 夕虹



どうしよう……!
約束をすっぽかすなんてありえない。


松本の笑顔が胸をよぎる。


とにかく連絡しなくちゃ……謝らなくちゃ。
夜遅いなんて言ってられない。


俺は、震える指で、松本にコールした。


『もしもしっ』


ワンコールもしないのに、噛みつくような大きな声がスマホから聞こえた。
俺は、申し訳なさで、声がうまくでない。


「あ……の……」

『大野さん?もしもし?どうした?何かあったの?』


矢継ぎ早に飛んでくる質問。
心配しつくしたという真剣な声。


「あの……ごめん……今日はほんとにごめん……!」


喉に何かがひっかかったように、うまく声が出ない。
俺は誰もいない部屋で、ひたすら頭を下げた。


『もしもし?大野さん大丈夫?』

「うん……ちょっと……体調崩したみたいで……ごめん、今、起きたんだ……」

『………そっか…』


良かった……と、呟く声に、涙が滲む。

きっとものすごく待たせた。
心配もさせた。

罵倒されてもしょうがないのに、恨み言ひとつ言わず、俺の心配をしてくれる。

申し訳なさで押し潰されそうだ。


「ごめん……」

『無事ならいいよ。また別の日にしよう?……それより大野さん大丈夫?声、変だよ』

「そ……かな」


うまくでない声は、ガサガサしてる自覚はある、


『熱はあるの?』

「……たぶん」

『じゃあ、水分とって早く寝て』

「……うん」

『また、埋め合わせしてくれたらそれでいいから。俺のことは気にしないで?』

「ありがと……」

『じゃあね?切るよ?』

「うん」

『……またね、大野さん。明日ね』

「……また明日」


プツンと通話が切れた。

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