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Attack 《気象系BL》

第4章 夕虹



霞がかった世界から、突如、はっと我にかえった。

何度も瞬きを繰り返し、自分が今いる状況を把握する。

見慣れた天井と、匂い。
自分の部屋のベッドだ。


「…………」


腕をあげ、額に手をあてると違和感。
ざらりとしたその感触は、冷却シートのようだった。


俺……


異常に熱い手が、体の異変を物語る。


どうしたんだっけ……


身体を動かそうとして、覚えのある下半身の怠さに眉根を寄せた。


俺………ニノに抱かれてた気がする。
あいつ泣いてた気がする……


「……………」


なんとなくその場面だけが、ぼんやり記憶にあるが
どうしてそうなったんだか、混乱して全く思い出せない。


「ニノ……いるの?」


ガサガサした声でその名を呼ぶが、この部屋には他人の気配はなかった。


何も思い出せない自分が怖い。


……机の上のスタンドだけがついてる部屋は暗い。
いまはとりあえず夜なんだな、と思った。


いや、待て。
俺、もうひとつ確か大事な予定が……


数秒の空白。


「!!」


バラバラだった記憶のパズルのピースが突如すべてはまった。



何時……!!今!


飛び起きて、頭もとの小さな時計をひっつかむ。

デジタルのそれは23時すぎを示してた。
脳天をかち割られたような衝撃に息がとまった。


裏のバイトあがりは、23時だったのを覚えてる。
てことは、この 23時は、短針が二回りしたあとの……つまり次の日の23時。

俺は、日曜日の日中まるまる一歩も外にでないまま、夜を迎えてしまった。


……ということは、



机の上のスマホに手を伸ばし、ふるえる手で表面を撫でた。

すると、大量の着信と、LINEの通知数が目に飛び込んできた。

差出人なんて見なくてもわかる。


血の気が引いた。

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