第8章 Good!!
おい……マジか。
俺は呆気にとられながら、和也の細い猫背をを見送った。
夕飯いらないって。
女子かよ。
「………ただでさえ病人みたいな白い顔してんのに?」
はぁ〜と、頭をガリガリかきながら、キッチンにもどる。
朝から仕込んだカレーの鍋の蓋をあけた。
そんなに辛くねぇんだけどなぁ。
ツヤツヤした人参や、肉とともに、実にうまそうな香りがする。
「どうするかな…この量」
腹の虫がぐうっとなった。
俺は俺で腹ぺこだ。
ちくしょう。俺が食っちまうぞ、全部。
続けて炊飯器の蓋を開けた。
ピカピカの白米の良い香り。
…おにぎりにでもして置いといたら、あいつ食うかなぁ。
ちなみに、昨日の焼肉定食は手付かずで朝まであった。
もったいないから、俺が朝飯に食ったけど。
「………世話のやけるぼっちゃんだなぁ」
ボールに、ホカホカのご飯をよそい、ラップを手に取る。
櫻井さんに、あいつ何もしなかった、と報告されるのも癪だし。
干渉しない程度に、動かないといけないとは思う。
「………あち」
俺はラップを握りしめて、大きなおにぎりを作った。