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Attack 《気象系BL》

第8章 Good!!




料理の腕がいまいちな俺でも、こと、このカレーを作るという作業は、好きだった。

スパイスの配合をいじるだけで、全然違う味になっていく事が実験みたいで楽しくて。
毎日カレーを食ってた時期もあるくらいハマっていた。

時間さえかけたら、どこまでも凝った味を作り出せるのが、美術作品を創作する感覚に似ていて、俺の性に合っているのだろう。

いい匂いのしてきた鍋に満足しながら、コトコト煮込む。

コリアンダーを少し多めにして、爽やかな風味にするのが俺のこだわり。

きっと、和也も美味いっていうぞ。

ワクワクしながら、お玉で鍋の中身をゆっくりかきまわした。



キッチンを気にしながら、適当に掃除をしたりしてると、ポロロンという音が玄関から聞こえた。
電子キーが解錠する音だ。


和也が帰ってきた。


俺は、少し緊張しながら、開け放たれたキッチンの入口から顔を出した。


「おかえり」


すると、靴を脱いでいた和也が、一瞬戸惑うような表情になり、すぐに無表情にかわった。


「………ただいま帰りました」


色白の顔で口を尖らせて。


「今日の夕飯はカレーだかんな」


そんな彼の反応をみたくて、俺がニッコリ笑って伝えると、あろうことか和也は、


「………辛いの苦手なんで。いらないです」


予想外の言葉でバッサリ切り捨てて、またもやさっさと2階にある自分の部屋にあがっていってしまった。


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