第8章 Good!!
夕飯の準備ができたことを伝えに、ホールの螺旋階段を静かにあがる。
和也くん、でいいよな。
飯できたぞ、じゃ、おかしいか?
お食事ご用意出来ました………いや、敬語?あの坊ちゃんに?
でも俺は家政夫だし………
グルグルと頭でシュミレーションする。
それにしてもこの家は、実に広い。
掃除をしながら数えたけど、リビングダイニングの他に1階も2階も6部屋ずつある。
書斎にしてる部屋などは、きっと和也の父親が使っている。もしくは、使っていた、のだろう。
和室もいくつかあった。
2階は洋室ばかりだった。
両親が使っていたのだろう主寝室の他に、櫻井さんの部屋らしきものなどもあった。
その中に、一部屋だけ鍵がかかった部屋があった。
そこが和也の部屋なのだろうと、容易に想像がついた。
2階の1番奥まった部屋。
俺は、その扉の前に立ち、遠慮がちにノックした。
「和也くん、夕飯できたけど」
声をかける。
すると、ほどなくして、ガチャリと扉が開いて、青白い顔をした和也が姿を見せた。
「……はい」
怪訝な表情に気圧されながらも、俺は伝えるべき事項を伝える。
「メシ……できたから呼びに来たんだけど」
「ああ……いりません」
だが思いもよらない返答に、
「……え?」
俺は思わず聞き返した。