第8章 Good!!
俺を完全にシャットアウトしやがったぞ。
おーい……
人見知りとは聞いていたけどさぁ。
自分高校生だろうが。
自己紹介くらいできるだろってんだ。
俺は、ため息をついて、キッチンに戻る。
「思春期でしたねぇ…はいはい」
ファーストコンタクトくらいは大事にしなきゃと思っていたけど、肩透かしをくらった気分だ。
こりゃ、弟も手強い系だな。
礼をしただけマシか。
緑の塊にザクリと包丁をいれる。
俺は家政夫。
俺はただの家政夫。
飯さえ作れば、いい。
干渉しない。
ぶつぶつとお経のように唱えながら、塊を小さくザクザク切ってお湯に放り込んだ。
熱湯の中でグツグツ茹でている間に、カウンターにおいてる携帯を手にとった。
『緑の野菜』 『珍しい 』
と、打ち込むとすぐにヒットした。
「ロマ……ネスコ?」
舌をかみそうな名前の野菜らしい。
なるほど、芸術的な見た目にふさわしいネーミングだ。
家政夫は、いろいろ勉強になるな、と思った。