第8章 Good!!
掃除、洗濯はまぁなんとかこなせた。
この家はお掃除ロボがいるから、床掃除は楽ちんだし、洗濯も和也のものやタオル類だけだから少ないし、乾燥機併用だから干すものもしれてる。
問題は。
「………これ、どうやって食うんだ?」
見たこともない野菜を前に、首を捻る。
難関事項は、料理だった。
とりあえず、初日だから冷蔵庫の中身だけでなんとかしようと思ったのだが、調味料は英語で書いてある物ばかりだし、肉はよさそうなものばかりでどうやって食えばいいのか。
野菜室を漁れば、漁ったでやたらとオシャレな野菜のオンパレード。
「ブロッコリーではないよなぁ……とりあえずゆでてみるかな?」
ゴツゴツした塊を、まな板の上で転がす。
……飯炊いて、肉焼いて。
夕飯のメニューをなんとなく組み立てていく。
櫻井さんから、飯は、基本俺も和也と一緒に食っていいっていわれてる。
調理はともかくとして、これからの飯の心配がないのはありがたかった。
緑の物体を前に、さてどうやって切ろうか、考えていると、
ガチャ……
扉を開ける音がして、顔をあげる。
すると、リビングの入口からこちらを見つめる人物と目があった。
和也だ。
「あ」
俺は急いでキッチンから出る。
「……えと、家政夫の大野……です」
言いながら歩み寄る。
和也は、俺とあまり身長差がない。
小柄なんだな、と思った。
和也は、じっと黙って俺をみて、ペコと礼をすると、そのまま部屋をでていった。