第2章 ららら 2
「あー……なにすんだよぅ……」
いきなりプリンを奪われて、智が抗議じみた目を向ける。
俺は、智の手の届かないところに持ち上げて、ちょっと怖い目を作った。
すると、智は、むくれた顔になり、お前は何がいいたいんだ……?と、めんどくさそうに呟いた。
「あの顔しないで」
「だからどんな顔だよ」
「怖がる顔」
「……え?」
「しないで」
「……どして?」
「……誰にも見せたくないから」
「なんで」
「可愛いから」
「…………はぁ?」
ぽかんとして俺を見上げる智が、あまりにも間抜けっぽくて、俺は我慢できなくて、ふふっと笑ってしまった。
「可愛いって……おまえ……」
ぼやく智は、本気であきれてる。
でも、申し訳ないけど譲れない。
あんな小動物みたいな可愛い仕草といい、表情といい。
電波にのせていいものじゃない。
「俺の前だけにして?」
大事な恋人の素顔。
ほんとは誰にもみせたくない。