第2章 ららら 2
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俺は、ちょっと拗ねてる。
なんでかっていったら、鈍ちんな恋人が、公共の電波で、俺を怖いっていじったから。
「……今さらじゃん?」
のほほんと言ってのけた彼は、何が悪いの?とでもいうように、ぱくりとスプーンを口に運んで、お、うま、と呟いた。
「…………」
そりゃ、そうさ。
そのプリンは、知る人ぞ知る人気店のものでめったに手に入らない。
智に食べさせたくて取り寄せたんだ。
美味くないわけないじゃないか。
心で叫びながら、俺は髪の毛をかきむしる。
「俺が言いたいのはそうじゃなくて……」
「…………うん」
智は、もごもごと口を緩く動かしながら味わってる。
くそ……可愛いな……って!いや、違う!
違う思考にとらわれそうになるのを、首をふって振り切った。
「俺はさ、智の顔が嫌だったんだ」
「……えー……どんな顔?」
カラメルをぐりぐりかき混ぜて、片手間のように聞き返してくる。
興味ないな、と言わんばかりだ。
俺の言葉の半分も響いてやしないだろう。
俺は智の手からプリンの瓶を取り上げた。