第7章 月虹
「すごい汗」
額にかかる前髪を後ろに撫で付けてくれる仕草が、気持ちいい。
「………雅紀さんも」
俺が微笑むと、雅紀さんは、手のひらで自分の顎をさわり、苦笑いした。
「汗っかきなんだ、俺」
「………意外です」
「そう?」
さっきまでの二人の間に生じていた熱さが、ゆっくりひいてゆくのに比例して、少しずつ頭も冷静になってゆく。
想像以上に痛かったけど、最後の方はそれも快楽にすりかわった。
………すごく気持ちよかったし、すごく幸せ。
しかも、いまだお腹の中は熱いものが埋まったままで、雅紀さんの体温を外側からも内側からも感じられる。
「………抜きたくないなぁ」
雅紀さんが、ぽつりと呟くから、思わず笑ってしまった。
「カズの中さ……すごく熱くて気持ちいいんだよ」
「……しばらくこのままでもいいですよ」
すると、雅紀さんは、うーん、とうなって、いや、と首を振った。
「やめとく。それでなくても多分、カズ、明日腰が立たないよ……」
「そんな…」
「明日は、俺とゴロゴロして過ごそうな」
雅紀さんは、言って、俺にキスをした。