第7章 月虹
雅紀さんが、もぞっと動いて、俺の両頬に静かに手のひらをあてた。
そして、そっと上向かされる。
ドクンと心臓が鳴った。
……雅紀さんが少しだけ熱っぽい瞳で俺をみてる。
「……………」
「……………」
その端正な顔がゆっくり近づいてきたのを感じて、目を閉じた。
柔らかな唇が重なり。
その熱を感じながら、ちゅ……ちゅ、と何度か優しく食まれる。
いつもの優しいキス。
心地いいスキンシップだ。
離れていく気配に目を開けると、雅紀さんが、とても困ったような顔をしてた。
「…………カズ、どうしよう」
「………?」
「お前が可愛すぎて………死にそうだよ」
「…………男にいうセリフじゃ……ないです」
恥ずかしくて俯くと、そうだよね、と抱き寄せられた。
密着した体が熱い。
雅紀さんの呼吸が早いのが、彼の迷いを象徴してる。
俺も………死にそうなほど、緊張して恥ずかしくて心臓が壊れそうだ。
だけど…言わなくちゃ。
俺の身体を大事にしてくれる雅紀さんからは、多分動かないから。
「………雅紀……さん」
「………ん?」
「あの……」
「…………うん」
「…………俺を抱いてください」