第7章 月虹
フラフラで風呂から出ると、雅紀さんが慌てて駆け寄ってきた。
「カズ、真っ赤じゃないか。のぼせたのかい?」
「あ……違います。なんか、今頃酔いがまわってきたみたいで」
へへっと笑いながら適当に言い訳をし、ソファに体を沈める。
ほんとは横になりたいけど、そこは雅紀さんに心配かけないように頑張って耐えた。
雅紀さんは、おろおろしながら、マグカップにたくさんの氷水を作ってくれた。
ありがとうございます、と受け取り、それを貪るようにコクコク飲んだ。
脱水気味だったのだろうか。
…………体のすみずみまで水分が行き渡ってゆく。
ぼんやりしてた頭が体が、急激にはっきりした。
そんな俺の様子を傍らで見つめていた雅紀さんは、俺の濡れてる髪の毛を、タオルでそっと拭いてくれた。
「……そんなに酔ってない感じだったし、時間もたってたから、大丈夫だと思ったんだけど。まだ風呂に入るには早かったか。ごめんな」
「いえ……俺がちょっと湯船につかりすぎちゃったんです」
………まさか準備してたなんていえやしない。
「……ほんと?」
「はい。全然大丈夫」
ニッコリ笑うと、雅紀さんは、ようやくホッとした顔になった。