第7章 月虹
コンビニで買ったものでも、温めて綺麗に盛り付けたら、ご馳走にみえる。
しかも、雅紀さんの手にかかると、品数まで増え、それはそれは豪華な食卓となった。
「……すご……スープなんていつ作ったんですか?」
「前にたくさん作って冷凍してたんだ」
「パンは?」
「それは、昨日買ったやつだよ…あ、ビール買ってきてくれたんだね。ありがとう。カズも飲むかい?」
冷蔵庫をのぞいてた雅紀さんが、笑顔で振り返る。
一瞬迷ったけど、俺は、はい、と頷いた。
アルコールは得意な方ではないけど、今日これからしようとしてることを考えると、素面はなかなか恥ずかしいかもしれないしな。
すると、酔いつぶれて居酒屋で寝てしまった前科のある俺を思いだしたのか、
「今日は酔ってもここで寝ちゃえばいいよ」
ふふっ…と雅紀さんがグラスを用意する。
「……酔いすぎないように気をつけます」
「いいよ。可愛いから」
………なんだかほんとに……照れることをバンバン言ってくるんだけど。
俺が、目を白黒させてると、
「なにより、帰る時間を気にしなくていいってのが嬉しいなぁ」
はい、とグラスを渡され、雅紀さんがしみじみ呟いた。
「そうですね…」
ずっと一緒に過ごせるのが嬉しいのは、俺も同じ。