第7章 月虹
もはや布団がわりになっていたニットを急いで脱ぎ、それをたたみながら、
「どうでした?おさまりました?」
気になってたことを聞く。
トラブルの処理だなんて、上司の仕事の範囲とはいえ、嫌に決まってる。
先方はめちゃくちゃ怒ってたみたいだし、大丈夫かな、と実は気を揉んでいたけど。
雅紀さんは、朗らかに笑って、ブイサインをだした。
「うん。バッチリ」
………さすが。
「………良かったです」
「うん。……ねぇ、あのキッチンのハンバーグとか、カズが買ってきてくれたのかい?」
「あ…はい。 俺は何も作れないから」
何も無いよりマシかと思っただけだ。
仕事から帰ってきた雅紀さんに、作らせるのも気が引けるもん。
「ありがとう。お腹ぺこぺこだ。カズも腹減ってるだろ?食べよう」
雅紀さんは嬉しそうに笑って立ち上がる。
そして、ほら、と、つないだ手を優しく引っ張った。
促されるままに立ち上がる。
雅紀さんの腕につかまった俺は、肩を抱かれて、また額にキスをされた。
「……………」
「ありがとうのチュ」
「……………はぁ」
今日はどうしたんだろ。
積極的な雅紀さんに真っ赤になってしまう。