第7章 月虹
………………
髪を優しく梳かれてる感覚がして、緩やかに意識が浮上した。
………あったかい
頬が触れるところがホカホカする。
安心する香りがする。
ん?
突然意識がクリアになり、ぱちりと目をあけた。
ラグにお山座りしていたはずの俺の体は斜めになってて。
何かに思い切りもたれてる。
え?
思わず、もぞりと頭をあげると、
「………起きた?」
雅紀さんが、優しい目で俺を見つめてた。
「………あ」
「ふふ。待ちくたびれちゃったんだね。ごめん」
ただいま、と、言って、雅紀さんは俺の額にキスをした。
「お……おかえりなさ…い」
しどろもどろで答えて俺は体を起こす。
温かいと思ったのは、雅紀さんの体温で。
安心する香りと思ったのは、彼の香りだった。
「急いで帰ったら、鍵あいたままだし、カズは寝てるし、びっくりしたよ」
「す……すみません」
「ううん。寝顔を堪能できたから、全然いい」
「え…」
「俺のでっかいニット羽織って、猫みたいにくうくう寝て………めちゃくちゃ可愛かったよ」
「……やめてください」
俺は真っ赤になって、俯いた。