第7章 月虹
1人で雅紀さん家に向かった。
焼酎は持ってたけど、これは明日の雅紀さんの誕生日用だから、コンビニに寄ってビールを買った。
夕食も必要だと思ったけど、勝手に台所を使うのもはばかられるから、盛り付けるだけでよいサラダやハンバーグやらも買い込んだ。
少し迷って明日の朝のパンとかもカゴに入れた。
思ったよりも大きくなったビニールをガサガサいわせながら、雅紀さんちのマンションに到着する。
冷たくなった指でポケットをさぐる。
見覚えのあるキーホルダーには、鍵が2こあった。
両側にギザギザがある鍵と、表面にポコポコ穴があいてる鍵。
…………こっちかな?
ポコポコを手に取り、そっと鍵穴にいれると、それはスルリとまわり、かちゃんと音がした。
ドキドキしながらドアをあける。
「お邪魔しまーす……」
家の主人はいないけど、一応声をかけて、俺は中に入った。