第7章 月虹
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雅紀さんの誕生日は、クリスマスであるが故、どこもかしこもカップルだらけでごった返すのは目に見えてる。
それでもせっかくだから、どこか豪華なホテルに泊まりに行く、とか、お洒落なレストランに行く、とか俺もいろいろ考えたけれど。
「……俺のつくる料理でいいなら、俺ん家で過ごさない?」
その方がのんびりできるし、という雅紀さんの言葉に、つい甘えてしまった。
基本インドアな俺だから、願ったりだ。
人混みは苦手だもの。
それに、俺には目的がある。
「あの…前日の仕事終わってから、そのまま行ってもいいですか」
「……え?」
「……雅紀さんの誕生日、土曜日でしょ。一番に祝いたいんです」
すごくすごく頑張って、あたかもなんでもないことのようにお願いしてみた。
だって、言ってみれば、これは泊まってもよいかどうか、聞いてるのと同じこと。
ほんとなら、顔から火が出るほど恥ずかしい。
雅紀さんは、一瞬固まったけど
「………もちろんだよ」
すぐに頷いてくれた。
「ありがとうございます」
俺もにこりと笑顔をつくった。