第7章 月虹
別々に退社して、雅紀さんの家のある最寄り駅の改札で待ち合わせる。
付き合い始めの頃のデートは週に1度だったけれど、夏前には5日に1回になり、秋のはじめには3日に1回になり。今では2日に1回は雅紀さんちにおしかけてる状態だった。
それだって、ほんとは、毎日でも会いたいし、雅紀さんもそう言ってくれてるけど…………そこは遠慮してしまう。
だって、雅紀さんの時間を俺が全部とっちゃっていいの?って思うし。
「カズ、ご飯何が食べたい?」
「なんでもいいです」
「またぁ?言ってくんなきゃ、またチャーハンにしちゃうよ」
「全然いいです。美味しいもん」
帰る道すがら、雅紀さんとたわいもない会話をするのが好きだ。
すっごく楽しい。
最近は、ちょっと困らせる技も覚えた。
雅紀さんがあははって笑いながら、俺の投げた態度を拾っていってくれるのも、こそばゆくて嬉しい。
…………要は、すごく幸せだ。