第6章 春の虹
俺と一緒にいる時間が増えれば増えるほど、智や潤と鉢合わせするタイミングも増える。
いつかのように、二宮くんと2人ですごしているところに、あの二人が突如来訪することだってあるかもしれない。
ある日、その可能性の話をすると、二宮くんは、少し考えて、俺に言ったのだ。
『………俺が雅紀さんちにいるときに、サトと松本を呼んでもらえませんか』
『…………大丈夫?』
驚いた。
数ヶ月前には、会いたくないって隠れたくらいだったのに。
『大丈夫もなにも。今、俺は…』
『うん』
『……えっと………』
『今?なに?』
ニマニマ笑いながらその先を促すと、二宮くんは耳を真っ赤にさせて、俺を睨んできた。
『………分かってて聞いてません?』
『いーや。わかんないから聞いてるんだよ』
『……雅紀さんって、そういうとこ意地が悪いですよね』
恨みがましい目で見られるけど……俺にしちゃただただ可愛い。たまんないよ。
「……………思い出し笑いはキモイですよ」
突如、至近距離で冷たい声がして、俺は我に返る。
二宮くんが、じとっとした目で俺をみている。
「ああ…ごめんごめん。」
あまり揶揄うと、わりと本気で拗ねるとこもあるから、そこらへんのさじ加減を間違えちゃいけないんだ。