第6章 春の虹
すると、信じられない、というような顔をした相葉さんは、
「……すご………」
と、呟いた。
すごい?何が?
「……………は?………い?」
聞き返せば。
「…………すっっごく嬉しいよ……」
相葉さんは、ため息まじりに言って、ふわっと笑った。
その陽だまりみたいな笑顔に、俺は、つられて笑ってしまい………急に照れがくる。
二人でなにやってんの、俺たち…。
赤い顔をかくすようにうつむくと、相葉さんは、そっかぁ…、と続ける。
「いつから?」
「え?」
「いつから好きになってくれたの……?」
…………いつから。
「えっと………いつのまにか、です」
「こんなオジサンなのに?」
「………オジサンじゃ、ないです」
「上司なのに?」
「………はい」
「………………………男、なのに?」
「……………はい」
相葉さんが、ぽつりぽつりと質問してくるから、俺も正直に自分の想いを返した。