第6章 春の虹
……………え………?
俺は、息がとまる。
今……………なんて?
頭の中で、相葉さんの言葉を反芻した。
好き…………?俺を?
都合のいい妄想だろうか。
ドキンドキンと心臓が鳴る。
何か言わなきゃと思うのに、言葉がでてこない。
「…………やっぱ、違うか」
黙ったままの俺を、拒否ととったのか、相葉さんは苦笑した。
「………ごめん。やっぱり困るよね。言わなきゃよかった……俺っていつも先走るんだよな」
あ………違う
「ちが……」
否定しなきゃ
「ヨコに言われたことを真に受けちゃった。ごめん。忘れて」
相葉さんは、そのままゴソゴソと財布を出したかと思うと、これ、タクシー代な、と、1万円札を俺の頭元においた。
「悪いけど俺、帰るね。点滴終わったら気をつけて帰れよ?」
じゃあ、と立ち上がりかけた相葉さんの腕を慌てて掴んだ。