第6章 春の虹
思わずビクっとしたのが分かったのだろう。
「…………違う……かな?」
相葉さんが、不安そうに問いかけてくる。
でも、俺は逆に、なんでそっちが不安そうなの?と、つっこみたい。
というより、正直パニックだ。
どうしたらいい?
どう答えたら正解?
認める?
認めない?
ぐるぐると自問自答してる俺は、よっぽど間抜けな顔をしていたのだろう。
不安そうにしていた相葉さんは、困ったように微笑んだ。
そして、ふと真剣な顔になり、待つ側はずるいかな、と、呟いて、俺の目をじっと見つめた。
………………なに
そして、相葉さんは、いつもとかわらない穏やかな声で切り出した。
「…………俺の方が年上だから、俺から見切り発車で言うけど。俺は………おまえをただの後輩と思ってないよ」
「………………」
「お前が、男も恋愛対象になると知ってから、いっそう気になる存在になったんだ」
「………………」
「………言うつもりはなかったんだけど………言いたくなったから、言うけど」
そこで、相葉さんはいったん言葉を切り、俺の目をもう一度深くみて。
「俺は……お前が好き、だよ」
と、言った。