第6章 春の虹
いた…………
キリキリと胃を握り潰されるような痛みが襲う。
……相葉さんを見ていたからだろうか。
泣きたいのを我慢したからだろうか。
なんだか今日は格別に痛い気がする。
我慢できなくなってきた俺は、そっとフロアからでて、休憩スペースまでなんとかたどりつき、ベンチに崩れ落ちた。
「痛い……」
思わず前かがみになる。
冷や汗が吹き出してきた。
顎から汗がつたい、ポトンと床におちる。
「痛い……」
助けて………
尋常じゃない痛みに、呻き声がもれた。
「二宮?」
隣にふわりと滑り込んできた人物が俺の肩を抱く。
「なに、おまえ。やっぱどっか悪いの?どうした?」
…………相葉さん
「腹か?頭か?痛いのか?苦しいのか?」
背中を大きな手でさすられる。
息がぐっとつまった。
優しくされるのが辛い。
俺は、ふるふると首を振り、大丈夫です…と、かろうじて返事をした。
休んでいたら、この波は去ると、そう見越していたら、
「んなわけないだろ!」
相葉さんが、珍しく声を荒らげた。
「冷や汗ダラダラかいて何いってんだよ……いますぐ救急に連れてってやるから」
俺は、霞む目で相葉さんを見上げた。
相葉さんは、俺の肩を抱きながら、どこかへ電話を始めた。
そんなに優しくされたら……また泣きたくなる
俺は相葉さんの腕の中で、涙が落ちないようにぎゅっと目を閉じた。