第6章 春の虹
平気な顔をしながら、鬱鬱とした気持ちを抱え続けるのは、なかなかきつくて。
俺は、ほんとに胃を悪くしたみたいで、ほとんど何も食べれない日が続いた。
朝は抜いて、昼は、お茶でごまかす。
夜は、食べてきた、と母ちゃんに嘘をついて、時々自室でゼリー飲料を飲む。
日に日に憔悴していってるのは自覚していたけど、二度目の失恋はさすがにこたえた。
想いを潰されるのは、ほんとに辛いものだ。
………一方で、相葉さんは戸惑うほどに、通常運転だ。
「二宮?おまえ最近顔色悪くない?」
「………そんなことないです」
「食ってる?」
「はい」
「寝てる?」
「(笑)寝てますよ」
「………なにか悩んでる?」
「………いいえ、全然」
そう、と、イマイチ納得しきれてない相葉さんは、原因が自分だなんて夢にも思わないのだろう。
彼に何も言われないから、転勤自体も誤報じゃないかと期待しちゃうけど、たまに部長と真剣な顔で話をしていたりするのを見かけると、ああ……やっぱり行ってしまうのか、と、泣きたくなる。